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光学ガイド:ガラス材料

シグマ光機で使用しているガラス材料は用途により大きく分けて全反射用と透過用があります。全反射用は表面のみ使用するため、特別な材料は不必要で研磨し易く、研磨面の温度安定性に注目し、材料を選定しています。一方透過用は表面の他に内部を使用するため、全反射ガラス材料の性質の他に透過率、均質性、内部の泡等が重要となります。光の屈折現象を利用したレンズの場合はガラスの屈折率、又プリズムや組合せレンズの場合は屈折率の他に分散が重要な要素になります。透過用のガラスは数百種類ある光学ガラスの一部を使用していますが、光学的特性の他に用途により価格および化学的、機械的等の特性を考慮した上で選定します。

光学ガラスは他のガラスと比べ高品質が要求され、屈折率が決められた値を持ち、脈理、泡等が一定基準以上のものをいいます。

BK7 略号 B

BK7は光学ガラスの一種で組成の分類では硼珪酸ガラスとなります。BK7は光学ガラスの中では一番多く製造され、350nm〜2000nmまでの透過が良く、泡、不純物の少ない均質で安価な光学材料です。

シグマ光機では小口径の全反射用基板材料および透過用基板材料として使用しています。

特長

  1. 化学的に安定しており表面の変質(ヤケ)が少ない。
  2. 光学ガラスの中では硬い材料でキズがつきにくい。
  3. 泡、不純物の含有量が少なく、350nm〜2000nmでの透過率がよい。
  4. 光学研磨がし易く入手が容易である。
  5. 大量に生産されているため、他の光学ガラスに比較して安価で、均質性が良い。

合成石英 略号 SQ

合成石英は紫外領域で多用される透過用の光学ガラス材料ですが、非常に低膨張である(BK7の約1/10)ため、高精度の反射基板材料としても適しています。合成石英は半導体用シリコン(Si)の製造工程で出来る四塩化珪素(SiCl4)を精製し、酸水素炎による酸化熔融過程を経てガラス化させ、二酸化珪素(SiO2)の単一組成からなっています。ガラス化の過程で、製法上(OH)基を含むため赤外域の1.38、2.22、2.72μmに吸収帯があります。

以下合成石英は有水合成石英をさします。

特長

  1. 紫外および可視領域の透過率は光学ガラスの中で最も優れ、泡、不純物も少ない。
  2. 熱膨張係数が非常に小さく、低膨張であることから熱ショックに強く、温度安定性がよい。
  3. 使用可能な温度範囲が極めて広く、最高温度800℃位までであれば使用可能です。
  4. 強い紫外光に対し蛍光が少ない。
  5. 硬質でキズがつきにくい。

無水合成石英 略号 NQ

合成石英の製造過程で(OH)基の発生を極力防止するプラズマ法で製造するため赤外域の吸収は少なくなりますが、多量の電力を消費するため高価な材料となります。合成石英では使用出来ない赤外域での透過材料に適しています。

パイレックス® 略号 PX

BK7と同じく硼珪酸ガラスの一種で、理化学用ガラスとして広く知られています。BK7よりも膨張係数が小さい(BK7の約1/2)ので、シグマ光機では中口径の全反射用基板材料として使用しています。パイレックス®は光学ガラスではないため泡、異物、脈理(不均質層)等が内部に入る場合が多く、用途に注意する必要があります。

特長

  1. 理化学用ガラスに使用されているように化学的に非常に安定している。
  2. 低膨張であるため、比較的熱ショックに強い。
  3. 硬質でキズがつきにくく研磨し易い。
  4. 製法上板状で供給されるため、加工性がよい。

エキシマレーザ用合成石英 略号 SQK

半導体製造用ステッパー等の普及によりエキシマレーザが理化学実験ばかりでなく産業界にも多く使用されるようになりました。

特にAr*F(193nm)、K*F(248nm)のエキシマレーザを光源とした光学系の中に従来の合成石英を使用した場合、蛍光等の問題が提起されるようになり、最近の研究によって合成石英中の(OH)基の量を制御することにより上記エキシマレーザ光に対し耐久性の強いエキシマレーザ用合成石英が供給されるようになりました。

シグマ光機ではエキシマレーザ用合成石英を使用したレンズを規格化しています。また、規格外の製品も製作しています。使用しているエキシマレーザ用合成石英は下記条件をクリアした合成石英を用いています。但しエキシマレーザ光に対し無蛍光等を保証したものではありません。レーザ光の強度、パルス巾、使用時間により耐久性は異なります。

一般的に強い紫外線を長期間ガラス等に照射しますと透過率の低下、カラーセンター発生による着色が生じます。

同じようなことがエキシマレーザ用合成石英にも起こり、長期間使用する場合には定期的な交換が原則です。

規格品に使用されていますエキシマレーザ用合成石英のレンズ、基板はエキシマレーザ248nmに適した合成石英を使用しています。

193nmでのご使用予定の場合は別途ご相談ください。

照射レーザ 強度〔mJ/cm2 繰り返し〔Hz〕 照射時間〔分〕 検査基準
Ar*F(193nm)用 Ar*Fエキシマレーザ 10 100 17 発光なし
Kr*F(248nm)用 Kr*Fエキシマエーザ 50 025 02 発光なし

B270-Superwhite(白板ガラス)

B270-Superwhite(白板ガラス)は非常に安価で、透過率もBK7とほぼ同等な高透明度クラウンガラスです。白板ガラスは材料の形状が多様で、入手が容易なため反射用および透過用材料として広く使用されています。但し生産工程および管理システムが光学ガラスと異なるため厳密な光学系には適していません。

その他光学ガラス、特殊ガラス

一部のレンズに使用されている高屈折率のLaSFN9、中屈折率のSK2は化学的、機械的特性(加工性)に優れレンズ用材料として使用されています。また可視域から赤外域まで透過するガラスとしてCORNING 9754、共にほぼ0膨張係数の値を持ち平面原器に適したゼロデュア®(略号ZD)・クリアセラム® ZとULETMがあります。

※BK7、LaSFN9、SK2はSCHOTT GLAS社の商品名です。
※B270-SuperwhiteはSCHOTT DESAG AG社の登録商標です。
※ゼロデュア®はSCHOTT GLAS社の登録商標です。
※パイレックス®、ULETMはCORNING社の登録商標です。
※クリアセラム®Zは株式会社オハラの登録商標です。

光学ガラス特性表一覧

ガラス名 BK7 SK2 LaSFN9
波長(nm)
屈折率 334.1 1.54272 1.64304
365.1 1.53627 1.63398
404.7 1.53024 1.62562 1.89844
480 1.52283 1.61547 1.87059
546.1 1.51872 1.60994 1.85651
587.6 1.51680 1.60738 1.85025
632.8 1.51509 1.60513 1.84489
706.5 1.51289 1.60230 1.83834
852.1 1.50980 1.59847 1.82997
1060 1.50669 1.59490 1.82293
1529.6 1.50091 1.58914 1.81363
1970.1 1.49495 1.58378 1.80657
2325.4 1.48921 1.57881 1.80055
密度(g /cm3 2.51 3.55 4.44
熱膨張係数(×10−6)/℃ 7.1(−30〜70℃) 6.0(−30〜70℃) 7.4(−30〜70℃)
熱伝導度(W/m・K) 1.114 0.776

※SCHOTT社カタログより

各種ガラス特性表一覧

ガラス名 合成石英 パイレックス® B270-SUPERWITE
波長(nm)
屈折率 193 1.561
200 1.548
300 1.486
350 1.476 1.480
400 1.470 1.478
500 1.462 1.474 1.5251(546nm)
600 1.458 1.472 1.5230(588nm)
700 1.455
800 1.453
1000 1.451
1500 1.445
2000 1.438
2500 1.430
3000 1.419
3500 1.407
透過域(μm) 0.19〜3.5 0.38〜2.3 0.35〜2.5
表面反射ロス500nmの時1面当り 3.50% 3.7% 4.30%
密度(g /cm3 2.2 2.23 2.55
熱膨張係数(×10−6)/℃ 0.55 3.25(20〜300℃) 9.4(20〜300℃)

BK7・合成石英参考データ

透過率

屈折率

BK7・合成石英参考データ

屈折率(n)・透過率(T) (板厚10mm)

λ 石英ガラス BK7 光源 輝線 スペクトル
〔nm〕 T〔%〕 T〔%〕
165 VUV
166 0 VUV
167 20 VUV
168 35 VUV
169 46 VUV
170 50 VUV
173 75 VUV
175 80 VUV
180 84 VUV
185.4 85 VUV
190 86 VUV
193.5 1.561 87 VUV
200 1.548 88 UV
210 1.540 90 UV
220 1.534 91 UV
230 1.523 91 UV
240 1.515 92 UV
250 1.509 92 UV
260 1.502 92 UV
270 1.497 92 UV
280 1.493 92 UV
290 1.489 92 0 UV
300 1.486 92 15 UV
313.2 1.484 92 1.548 38 UV
325 1.483 92 1.545 58 He-Cdレーザ UV
334.2 1.480 93 1.543 72 UV
337.1 1.480 93 1.541 76 N2レーザ UV
351.1 1.476 93 1.539 85 Arレーザ UV
355 1.476 93 1.539 88 YAG(3) UV
363.8 1.475 93 1.536 90 Arレーザ UV
365 1.475 93 1.536 90 Hg i UV
398.8 1.470 93 1.531 90
404.7 1.470 93 1.530 92 Hg h
435.8 1.467 93 1.527 92 Hg g
441.6 1.466 93 1.526 92 He-Cdレーザ
457.9 1.465 93 1.525 92 Arレーザ
465.8 1.464 93 1.524 92 Arレーザ
472.7 1.464 93 1.523 92 Arレーザ
476.5 1.464 93 1.523 92 Arレーザ
480 1.464 93 1.523 92 Cd
486.1 1.463 93 1.522 92 H F
488 1.463 93 1.522 92 Arレーザ
496.5 1.462 93 1.522 92 Arレーザ
501.7 1.462 93 1.521 92 Arレーザ
514.5 1.461 93 1.520 92 Arレーザ
532 1.461 93 1.519 92 YAG(2)
546.1 1.460 93 1.519 92 Hg e
587.6 1.458 93 1.517 92 He d
589.3 1.458 93 1.517 92 Na D
632.8 1.457 94 1.515 92 He-Neレーザ
643.9 1.457 94 1.515 92 Cd
656.3 1.456 94 1.514 92 H C
694.3 1.456 94 1.513 92 RUBYレーザ
706.5 1.455 94 1.513 92 He r
830 1.452 94 1.510 92 GaAIAs NIR
852.1 1.452 94 1.510 92 Cs s NIR
904 1.452 94 1.509 92 GaAsレーザ NIR
1014 1.450 94 1.508 92 Hg t NIR
1064 1.449 94 1.507 92 YAGレーザ NIR
1100 1.449 94 1.507 92 NIR
1200 1.448 93 1.505 92 NIR
1300 1.447 93 1.504 92 NIR
1350 1.447 91 1.504 92 NIR
1380 1.446 83 1.503 88 NIR
1400 1.446 87 1.503 91 NIR
1500 1.445 93 1.501 91 NIR
1600 1.443 94 1.500 91 NIR
1700 1.442 94 1.499 91 NIR
1800 1.441 94 1.497 88 NIR
1900 1.440 94 1.497 85 NIR
2000 1.438 94 1.495 83 NIR
2100 1.437 92 1.493 81 NIR
2200 1.435 67 1.492 73 NIR
2220 1.434 56 1.492 71 NIR
2250 1.434 64 1.491 70 NIR
2300 1.433 80 1.490 72 NIR
2400 1.431 87 1.487 65 NIR
2500 1.430 73 1.485 59 MIR
2600 1.428 58 1.484 55 MIR
2650 1.427 20 1.483 40 MIR
2700 1.426 0 1.483 30 MIR
2720 1.426 0 1.482 23 MIR
2750 1.425 0 1.481 19 MIR
2800 1.424 0 9 MIR
2900 1.422 40 0 MIR
3000 1.419 65 MIR
3100 1.417 75 MIR
3200 1.414 78 MIR
3300 1.412 81 MIR
3400 1.409 80 MIR
3500 1.407 70 MIR
3600 61 MIR
3700 50 MIR
3800 25 MIR
3900 21 MIR
4000 23 MIR
4100 15 MIR
4200 4 MIR
4300 0 MIR

ゼロデュア® 参考データ

ドイツショット社の製品で結晶化ガラスの一種です。結晶化ガラスは一度高温でガラスに熔解後熱処理し結晶化させたものです。電磁調理器等で使用されているトップパネルも同じ種類です。

熱膨張率

光学特性・他

透過域 0.4〜2.5μm
屈折率 486.1nm 1.5491
587.6nm 1.5424
656.3nm 1.5394
表面反射ロス 587.6nmの時1面に付き4.6%
比重 2.53
平均熱膨張係数 0±0.10×10-6/K(0〜50℃)

※ゼロデュア®はSCHOTT GLAS社の登録商標です。

透過率

CLEARCERAM®-Z 参考データ

CLEARCERAM®-Z は光学、特殊ガラス総合メーカーである株式会社オハラが開発した極低膨張透明結晶化ガラスで、ガラス組成、析出する結晶の大きさ、および結晶量を厳密に制御することにより、耐熱性、硬度、機械的強度、化学的耐久性、加工性などを向上させた優れた特性を有する材料です。低膨張の特性を生かし、半導体関連部材、精密部材、標準尺や電子基板材などの用途に適しています。

光学特性・他

透過域 0.4〜2.5μm
屈折率 587.6nm 1.546
表面反射ロス 587.6nmの時1面に付き4.6%
比重 2.55
熱膨張係数 0.0±1.0×10-7/℃(0〜50℃)
脱ガス分析 金属成分検出なし(30℃〜1000℃)

※CLEARCERAM®は株式会社オハラの登録商標です。

熱膨張率